働き方の多様化にともなって副業や兼業に関心を持つ人が増えています。今回は本業以外での副業・兼業を求める理由と副業人材の活用メリット、事例や募集・採用について見ていきたいと思います。

副業人材とは

副業人材とは、本業の勤務時間外で別の仕事を副業として請け負う人材のことを指します。自治体や企業でも副業人材を募集する動きが活発化しています。

コロナの流行をきっかけに、フレックスタイム制での勤務やリモートワークなどの新しい働き方が浸透しはじめると、改めて自身のキャリア形成を見直す人が増えました。その中で副業を求める理由としては、収入を増やしたい、本業では得られないスキルを身に付けたい、人脈を広げたいなどさまざまです。

平成30年1月に改定した厚生労働省のモデル就業規則では「労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。」という規定を新設しました。これは副業を希望する雇用者が年々増加傾向にあることを背景に、副業・兼業の促進に関するガイドラインとして新たに設けられたものになります。1995年をピークに日本の生産年齢人口は減少し続けており、企業の人手不足は深刻な問題です。副業を求める人材と人手不足を解消したい企業がマッチングできれば理想的な関係性を構築することが可能になります。

副業人材を活用するメリット

副業人材の活用には様々なメリットがあります。それでは、企業側にとってどのようなメリットをもたらすのか見ていきましょう。

【1】即戦力人材の採用が可能

副業人材にはプロフェッショナルな人材が多くいます。新たなスキルを求めて副業を探している副業人材は、キャリア意識も高く、入社後すぐに即戦力になることが可能です。正社員採用の場合は一から教育をしなくてはいけませんが、副業人材であれば既にある経験を生かして活躍してくれるので、社内にないノウハウや技術の獲得にもつながります。

【2】転職市場にいない人材の採用が可能

副業人材が本業に従事しながらも副業を求めているのは、本業には満足しており、「転職」は考えていないからです。副業人材は、転職市場の中では採用できない貴重な人材です。高い専門性や豊富な経験がある人材も副業人材としてなら採用できるチャンスがあるということになります。

【3】採用ミスマッチのリスクが低い

採用したものの理想としていた人材とはかけ離れていたなど、企業とって採用後のミスマッチはなるべく避けたい課題です。正社員としての採用はどうしても長期的なコストとリスクを負うことになります。一方で副業人材の場合は、本業での実績などを基に採用を見極めることが出来るのでリスクを最小限に抑えることができます。

【4】総合的に採用コストが下がる

副業人材の採用は必要な時だけ必要な人材を確保することができるため、正社員としての雇用や外部に依頼するよりも安価となる場合が多いです。副業人材の方が総合的に見ても採用コストが安くなります。

副業人材の活用事例

副業や兼業に関心を持つ人が増えたことにより、企業や自治体でも副業人材の活用が進んでいます。地元企業の後継者不足やUターン人材の不足など、地方自治体で進む人材不足を副業人材を採用することで解決しようとする動きが活発化しています。

活用事例を紹介すると、和歌山県の副業兼業人材活用支援事業では、「人材ニーズの掘り起こし」、「マッチング支援機関への情報提供」、「補助金による支援」の3つのカテゴリーの支援を行っています。また、各市町村には、移住専属相談員として「ワンストップパーソン」を配置し、地域と副業人材を結び付けていく取組を進めています。
椿温泉旅館しらさぎでは、当該事業を活用し、経営に関する様々な相談にのってもらうためにいわゆる女将のパートナーを募集しました。応募者から1名を選出した結果、メールや電話、オンラインミーティングを使って適宜連絡を取り合う形で上手く活用しているそうです。このように地方企業であっても、自治体の支援を駆使して受け入れる側の環境を整えれば、副業・兼業の活用がいかに効果的であるかが分かると思います。

参照)副業・兼業活用に関する事例調査について – 総務省
https://www.soumu.go.jp/main_content/000802540.pdf

同じく中小企業でも人材不足に悩まされており、正社員という枠にとらわれない副業人材の採用と活用が進んでいます。

東京都にある人材紹介会社では、作業内容や納期などが決められた一部の業務を切り出して、稼働時間に制限がある高い専門性を持つ副業人材に業務を委託しています。必要なときに必要なだけ業務の発注が可能になり、人手不足の解消とともに業務の効率化も図ることができます。
他にも一部の業務という区切りではなくて、一つの案件・プロジェクトに携わってもらうという活用方法もあります。専門知識やノウハウ、豊富な経験を持つ副業人材に参加してもらうことで、自社のノウハウや知見のない事業分野への進出がよりスムーズになります。また、プロジェクト終了後も経営の相談相手として、長期的に関与するパターンもあります。

参照)事例から学ぶ!「副業人材」 | 経済産業省 中小企業庁
https://mirasapo-plus.go.jp/hint/20187/

副業人材採用の補助金

副業人材の活用を促進すべく、副業・兼業支援補助金を受け取れる事業があります。自社の従業員を副業に送り出す企業又は副業の人材を受け入れる企業の要する費用の一部を助成し、費用負担を軽減するものです。副業促進と企業間・産業間の労働移動の円滑化を図ることを目的としています。

参照)副業・兼業支援補助金ウェブサイト
https://www.fukugyo-kengyo-hojo.jp/

また自治体ごとに補助金やマッチング支援を行なっているところもあります。

・群馬県富岡市
副業人材活用事業(申し込み・補助金)
「自らのスキルを地域に生かしたい副業人材」と「副業人材を受け入れて課題解決したい市内中小企業」のマッチングを支援するものです。市が業務委託したマッチングサイトに求人を掲載し、マッチングが成立した場合には、補助金も受け取ることができます。地域経済活性化と関係人口創出を図るための取組となります。
参照)https://www.city.tomioka.lg.jp/www/contents/1622437248818/index.html

・公益財団法人わかやま産業振興財団
副業・兼業人材活用補助金
県外のプロフェショナル人材を副業・兼業等の常勤雇用とは異なる形態で活用する場合に、当該人材が就業場所に移動するために要する費用の一部を補助するものです。県外居住地から就業地(県内に限る)まで公共交通機関等で移動する際の旅費(交通費、宿泊費)を補助します。
参照)https://yarukiouendan.or.jp/news/a-side-job/

副業人材の募集と採用

各自治体や企業で、事業の継続や更なる発展を目指すために、従来の人材雇用だけではなく副業人材を募集する動きが活発化しています。副業人材採用のためのマッチングプラットフォームも登場し、必ずしも「正社員」や「派遣社員」という雇用に囚われる時代ではなくなりました。一つの人材の活用方法として「副業人材」が即戦力として効果的であることが次第に広まってきています。従来の採用活動を進めながらも、今後は副業・兼業人材の採用にも注目していきたいところです。

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