採用のプロに聞く!転職者の応募率を上げる秘訣とは?
コロナ渦によって業務縮小を余儀なくされた企業は多く、そのために転職を検討する人も増えています。
対して、コロナ渦を含むさまざまな事情から積極的な中途採用を行う企業もあり、優秀な人材を求める企業も増加傾向にあります。
より優秀な人材を採用するためには、転職希望者の応募率を上げることが不可欠。
そこで、採用のプロに「転職者の応募率を上げる秘訣」についてインタビューいたしました。
積極的に中途採用を行う予定の企業様は、ぜひご参考ください。
日本の労働経済の推移と特徴
日本の労働経済の推移と特徴
コロナ渦以降、新卒はもちろん中途採用も縮小傾向のイメージが強いですね。
しかし実際には、従業員増減の見通しにおいて、現状維持か増員の予定をもつ企業が多く、仕事を見つけやすい状況となっています。
転職者の動向
ある調査によると、2021年中盤の段階で、現在就業している労働者のうち50%近くの人が年内の転職を希望しているという結果が出たそうです。
2020年の転職率は約5%(20代〜50代男女)、転職を前向きに考えている割合は3年連続で増加しています。
コロナ渦によってフード業界が厳しい状況となったため、異業種への転職を希望する人も多く、前年度の1.5倍となりました。
参考URL
https://www.mynavi.jp/news/2021/03/post_30246.html
https://www.youtube.com/watch?v=ehZyODe1Yuw
雇用失業情勢の動向
リーマンショックのあった2008年以降、正社員雇用をはじめとする求人倍率は、上昇傾向が続いていました。
2019年には、それまでの1.6倍と高い水準を維持していましたが、新規求人倍率はほぼ横ばい傾向。
また、正社員の有効求人倍率は年半ばまでやや上昇したものの、その後低下傾向となりました。
2020年には、新型コロナウイルス感染拡大の影響等により、有効求人倍率、完全失業率ともに悪化、年平均で1.18倍となりました。
完全失業率は、10月に3.1%まで上昇するなど厳しい状況が続いていましたが、2021年中盤以降は、パンデミックの影響で成長した部門で需要が高まっています。
参考URL
https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/roudou/20/dl/20-1-1-2_01.pdf
https://www.youtube.com/watch?v=ehZyODe1Yuw
採用活動が活発な業種
積極的に採用活動を行っている業種は、以下の4つが代表的です。
- 金融サービス
- 小売
- テクノロジー・電気通信
- FMCG(日用消費財)
また、医療も継続して積極的な採用活動を行っています。
ヘルスケアとライフサイエンス産業の求人は、2020年全般を通じて堅調。
薬や手術関連、コロナワクチンに関する新規採用ニーズが増えているほか、新規ポジションの採用にも積極的です。
採用活動が活発な職種
採用活動が活発な職種としては、以下の5つが挙げられます。
- ファイナンス
- テクノロジー
- デジタルマーケティング
- 調達・サプライチェーン
そのほか、経理や人事、法務といった職種の採用枠も増加傾向です。
コロナ渦によって、キャッシュレス化やテレワークといった働く環境の変化が加速したことにより、法務関連の業務が増えたことから、積極的な採用を行っています。

主な求人方法
主な求人方法
人材募集については、さまざまな求人方法があります。
それぞれの求人方法には、どのようなメリットとデメリットがあるか、そこで、採用サーチ事務局がシルバーパートナーである「フェリクシード様」に詳しくお話をうかがいました。
※以下、「採用サーチ事務局:採」、「フェリクシード様:フェ」と表記
縁故採用とリファラル採用
採:「縁故採用」は今も割と多いですね。
フェ:「縁故採用」という言葉だと、一般的には親や親族などから紹介される方法を指します。これは昔と違って減少傾向にあるかと思いますが、今でも一定数のニーズはあります。一方で、昨今では「リファラル採用」と呼ばれる手法が増えています。「リファラル採用」は「縁故採用」と違い、親や親族というよりは、自社の社員の知人や友人を紹介してもらう方法になります。採用のプロセスも、「縁故採用」の場合は入社前提での選考になりがちですが、「リファラル採用」はしっかりとした選考過程を経て採用される形になります。
そのため、「縁故採用」においては、我々代理店が関与することはほどんどありませんが、「リファラル採用」については、その手法、ノウハウなど、代理店が関与するケースは多々あります。
採:なるほど。では「リファラル採用」について詳しく教えてください。
フェ:「リファラル採用」は、自社社員から紹介してもらって採用していく手法のため、気軽に始められそうな印象がありますが、しっかりと実績に繋げるためには、紹介しやすい風土を出すための社内制度の変更など、しっかりとした対応が必要です。また、紹介後のステップを明確にしないと、紹介する人とされる人の間でトラブルになりかねないため、そのあたりのフォローも大切だと思っています。
採:なるほど。「リファラル採用」については、メリットの大きい採用方法だと考えてよいのでしょうか?
フェ:「リファラル採用」はあくまで企業の採用活動の一手段という形です。基本的に現在いる自社社員からの紹介になるため、多くの人にアプローチするのは難しいです。
そういった特徴から、「リファラル採用」がメインの採用手段になることは基本的には難しく、あくまでいろいろな採用手法の中で、「リファラル採用」も対応している、という形になるかと思います。
とはいえ、メリットとしては、自社社員の紹介が基準となっているため、通常の採用より離職率が低い、などの特徴はあると思います。そういった意味ではメリットは大きいです。
ハローワーク
採:ハローワークを利用した採用はどうでしょうか?
フェ:ハローワークは求人に費用がかからないので、コスト面でのメリットが大きい採用方法です。
また、ハローワークを活用することで助成金が利用できる企業もあるので、助成金を活用したい企業にもメリットがありますね。
採:採用で助成金が利用できるのは助かりますね。ではデメリットはありますか?
フェ:ハローワークは、掲載までの手続きが細かく、時間がかかるので、急いで採用したい場合には不向きかもしれません。また、求人情報の内容がとても簡潔なので、求める人材以外の応募が多いといったことがあります。あとは、職種や業種によってはハローワークではなかなか見つからないケースもあるかもしれません。
採:急ぎはない企業にはメリットが大きいといえるでしょうか?
フェ:採用にコストをかけたくない企業や、助成金を活用したい企業向きだといえます。
ホームページやSNS
採:自社ホームページを活用した採用方法はどうでしょう?
フェ:自社ホームページは会社の看板になるため、ページを用意する、という意味では必要だと考えています。一方で、自社ホームページから採用に繫げるのはなかなか難しいのが実情です。業種、職種などにもよりますが、正攻法としては正しくSEO対策をして、検索エンジンにヒットさせていく方法が良いと思っています。
採:そうなると急な採用には不向きということですね。
フェ:自社ホームページをしっかり運用して、毎年新卒や中途採用を定期的に募集する、といったことができる企業様には、メリットが大きいと思います。
自社ホームページは企業PRのために不可欠ですので、自社のブランド力を上げるためと考えると、企業が成長していくフェーズで必ず通るポイントになるのではないしょうか。
採:SNSでの採用はどうでしょうか?
フェ:SNSは基本的に無料で使えるので、企業のアピール、宣伝という点ではメリットは大きいですよね。とはいえ、採用に特化して運用する場合、手間と時間を考えると、なかなか難しいと思っています。
採:SNS採用のメリットにはどのような点が挙げられますか?
フェ:日本ではSNSからの応募は珍しいケースだと感じますが、海外ではSNSからの応募が当たり前、といったケースもあります。外国人の採用ではSNS経由での募集が費用対効果も良い、といったケースもありますので、やはり適材適所、企業さまの欲しい人材に対して、適切な運用が必要だな、と思います。
求人サイト
採:求人サイトを活用した求人方法はメジャーですね。
フェ:そうですね。いわゆる「媒体経由の募集」という表現になるかと思いますが、求人サイトについては、掲載するための費用はかかりますが、募集内容を細かく掲載できることや、スカウトなど企業側からのアプローチが可能であることなど、費用対効果のバランスがよい求人方法だと思います。
採:求人サイトを活用する上でのデメリットはありますか?
フェ:一般的には掲載するだけでも費用がかかるので、応募が発生しなくても費用が発生してしまう点は、デメリットのひとつだといえます。
しかし、若い人材を求めている企業や、大規模な採用を検討している企業にはメリットの大きい求人方法だといえるのではないでしょうか。

応募率が低い3つの要因
応募率が低い3つの要因
優秀な人材を求めて大々的な中途採用募集を行っても、応募率が低いと悩む企業は少なくありません。
応募率が低い3つの要因について、以下のようなお話をうかがいました。
採用募集の情報発信がターゲットユーザーに合っていない
採:具体的に、どのような点がターゲットユーザーに合っていないのでしょうか?
フェ:多いのが、求人情報を掲載する媒体がターゲットユーザーと合っていないというケースです。
掲載費用が関係していることが大きいようですが、正社員を募集したいのに、アルバイトの求人情報サイトに掲載するなど、応募者側から見たニーズが合わない媒体に掲載してしまうと、応募が少なくなってしまいます。
採:掲載費用だけで媒体を決めるのはNGということですね。
フェ:職種においても同様です。
前回、別の職種で応募した媒体の反応がよかったからといって、違う職種で募集情報を掲載しても、よい反応が返ってくるとは限りません。
ユーザー属性に合った求人方法を行うことが重要です。
②発信媒体と掲載時期が合っていない
採:「発信媒体と掲載時期」とはどのようなことでしょうか?
フェ:発信媒体とは、先にお話した「求める人材と媒体を合わせる」ということです。
社員とアルバイトも同様ですが、学生が多くチェックする媒体と、主婦層がパートを探してチェックする媒体など、ユーザー属性は媒体によって変わってきます。
求める人材と合った媒体に求人情報を掲載することが基本です。
採:「掲載時期」については、どう考えるのが適切ですか?
フェ:例えば、中途採用で正社員を募集する場合、新年度前の1〜2月がもっとも応募が多い時期だといわれています。
学生バイトは、進級に合わせて2〜3月頃に応募する人が多いですし、主婦のパートは新学期が落ち着いた5〜6月頃や、夏休みが終わった9月頃に応募する人が多いです。
このように、雇用形態と募集時期を合わせることで、求める人材からの応募が増える可能性が高くなります。
③採用市場を把握できていない
採:「採用市場」とはどのようなことを指すのでしょうか?
フェ:例えば、しばらく人材が安定していたので久しぶりに募集をかける場合、給料や時給に対する価値観が昔のまま、という企業が少なくありません。
何年も前の雇用条件と同じ条件で募集をしても、今のニーズと合っていなければ応募は期待できません。
同業の平均的な給与や時給をリサーチした上で、適切な条件で募集をすることは必須です。
採:給料や時給以外に、チェックしておくべき市場はありますか?
フェ:求職者は1つの求人情報のみを見て応募することは滅多にありません。複数の求人情報を比較して応募する方がほとんどになります。
福利厚生や、昨今のコロナ対策の状況ももちろん、面接はオンラインでもできるのか、就職後はどのような働き方になるのか等、採用までの過程、入社後の仕事内容がより具体的にイメージできる募集内容にすることは非常に重要になると思います。
応募率を上げるための重要な7つの秘訣
応募率を上げるための重要な7つの秘訣
では、具体的に応募率を上げるにはどんなポイントをクリアすればよいのでしょうか?
抑えておくべき7つのポイントについて、お話をうかがいました。
①採用目的を明確にする
採:採用目的の明確化とは、具体的にどのようなことをすればよいのでしょうか?
フェ:募集要項を設定する際に、採用目的が明確になっていないと求める人物像がぼやけたままになってしまいます。
なぜ、このタイミングで人材を必要としているのか、その目的をはっきりさせることが重要です。
採:採用する目的がはっきりすると、なぜ応募率が上がるのでしょうか?
フェ:「こんな人がほしい!」という目的が応募者側に伝われば、応募者も応募しやすくなります。
採用の目的がはっきりしていない企業の募集要項は、やはり内容もはっきりしていないことが多いです。
まずは、採用目的を明確にしてみましょう。
②採用したい人物象(ペルソナ)を明確にする
フェ:採用目的と同様に、「どんな人を採用したいのか」を明確にすることは必須です。
採:これはとてもよく分かります。
フェ:その人材を採用することによって、どのように役立ってほしいのかを明確にすれば、どんな人が自社に必要であるかがはっきりして、具体的な募集につながります。
③適した求人媒体の選定
採:これは先ほどの「応募率が低い原因」でもお話がありましたね。
フェ:そうですね。
正社員を募集するのか、アルバイトか、パートか、学生か、主婦か。
求める人材に合わせた媒体選びは、求人を行う上でも重要な事案になります。
④魅力ある求人広告の工夫
採:求人広告の工夫は大切ですね。
フェ:そうですね。特に、求人媒体に記載するキャッチコピーは目を引くので、よりこだわりたいところです。
採:自社で働くメリットをアピールするということでしょうか?
フェ:はい。自社で働くことで身につくスキルを記載したり、ライフワークバランスが取りやすいといったことを記載するのもよいと思います。
採:ほかには、どんな点を意識して求人情報を記載すればよいでしょうか?
フェ:例えば中途採用の場合、「未経験者歓迎」や、「研修制度充実」といった文言があると、応募者側が応募しやすくなりますね。
ただし実際は、経験者が欲しいのであればその旨をきちんと記載することも大切です。
「経験者優遇」など、できれば経験者がほしいことをアピールしてください。
また、Indeedなどの求人検索エンジンに掲載する場合は、求職者が検索するキーワードを意識したキャッチコピーするなど、媒体ごとの特色に合わせた工夫も重要になっていきます。
⑤応募者対応
採:応募者対応とは、応募者への実際の応対ということですか?
フェ:そうです。例えば書類選考を通過して面接に進む場合、メールや電話で連絡を入れますよね。
このときの対応が悪いと、面接に来てもらえない可能性がありますので、応募者対応はとても重要です。また、応募から求職者に連絡するまでのスピードも非常に重要になってきます。
採:よく分かります。具体的にはどのような点に気をつければよいでしょうか?
フェ:メールであれば、必要事項をわかりやすく記載した上で、「ご不明点があれば遠慮なくお問い合わせください」や、「お会いできる日を楽しみにお待ちしています」といった文言を加えることで、応募者の緊張が和らぎます。
メールは声などで抑揚を伝えることができないので、ちょっとした気遣いを忘れずに入れたいですね。
採:電話対応で気をつけるべき点もぜひ教えてください。
フェ:早口にならず、丁寧に必要事項を伝えることです。また、何か聞かれたときに「たぶん◯◯です。」とか、「そうだと思います。」といったあいまいな回答だと、応募者が不安になってしまいます。
質問に関しては明確に回答するか、不明な場合は確認して折り返すなど、応募者に対して誠実な対応を心がけましょう。
また、不在時はSMSサービスを利用して連絡をするなど、求職者がかけ直ししやすい環境を用意することも大切です。
⑥面接の対応
採:面接時の対応で気をつけるべき点はありますか?
フェ:まずは、応募者側が過度に緊張することのないよう雰囲気を和らげることです。
面接では誰もが緊張すると思いますが、採用側が意図的に緊張させるような雰囲気を作ってしまうと、本来の人物像を把握することができません。
採:くだけすぎず、硬すぎずという感じですね。
フェ:そうですね。あとは身だしなみをきちんと整えること。
会社によってカジュアルファッションで面接に臨むところもありますので、社風に合わせた服装を選んでください。
採:名刺交換はするべきですか?
フェ:必ずしも行う必要はありません。
応募者側が面接後に問い合わせをしやすくする上では、こちらの名刺を渡しておくと親切です。また、昨今ではオンラインでの面接も主流になりつつあります。オンライン会議の背景に名刺を入れるなど、求職者に覚えてもらいやすい工夫をすることも大切かもしれません。
⑦面接後のアクション
採:面接後の対応で気をつけるべき点はありますか?
フェ:応募者側は、合否の連絡がいつもらえるかをとても気にしていると思います。
「合否の連絡については、◯日以内に連絡します」など、期間を伝えてあげるのが親切です。
採:合否の連絡はメールと電話、どちらが望ましいですか?
フェ:必ずしも「これでなければいけない」という方法はありませんが、採用の場合はその後のやり取りがスムーズなので、電話を用いる企業が多いようです。
不採用の場合は、メールか書面で連絡する、もしくは「1週間経っても連絡がなければ不採用です」と伝える企業もあります。
いずれにせよ、決めた日時を必ず守って対応しましょう。
自社の発展を目指して優秀な人材を確保する
自社の発展を目指して優秀な人材を確保する
今後、転職市場はさらに活発化し中途採用を行う企業は増えていく傾向にあります。
より優秀な人材を確保するには、市場をしっかり把握した上で適切な人材募集を行うことが重要です。
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